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はしらFAQ |
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シナリオの「はしら」って、なんですか? |
場所と時間を指定するモノです。シナリオのシーンの頭にあり、通常大きな○の下に撮影する場を、名詞単独で指定します。原稿用紙では、行の頭から桝目を空けずに○を書き、シーンが移るたびに1行空けるのが通例です。(改頁でシーンが移る場合は1行空けは必要ないでしょう) 例:○山田家・居間(夜)
(2001,02,23)
はしらについて、様々なご質問を受けます。ルールや先例を学ぼうとするのは結構ですが、基本形を押えた後は自由闊達に表現されてはいかがでしょうか。はしらを立てる基本は「芝居が行なわれる場を指定する」です。ディテールで様々な知識を得ようとすると際限無く、ご自分の中で堂々巡りが繰り返されます。シナリオは学ぶだけで終わるものではなく、そこから新しく創造するものです。いただく疑問は、創作の視点、スタンスが違うのではないでしょうか。個別のご質問にもお答えしますが、ご質問の前に、基本に照らし合わせてご自分で考えてみてください。枠に嵌まろう、教わろうとする姿勢が、創造を潰す弊害だと考えます。
(2003.09.14) |
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はしらの前に○を書くようですが、何故ですか? |
手書きの原稿でお見かけするのが、はしらの頭にある「○」を小さく書く方。「●」だったりした例もありました。これはシナリオの基礎や役割を知らない、学んでいない現れですね。この「○」は、中に通しのシーンナンバーを入れるためのモノです。シーンナンバーは、脱稿した後に入れます。通常は印刷所で行う作業になります。シナリオを書き上げるまで、シーンの入れ替えの作業は、余程の達人でなければ当たり前です。先に番号を振ったり、シーンナンバーを埋めながら書き進めると、後で混乱します。数字に捕われて入れ替え作業が出来なくなったりします。先輩たちの知恵を継承して、素直に大きな○を書きましょう。 (2001.11.23) |
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細かなシーンが続く場合も、はしら毎に1行あけなければいけませんか? |
頁が変ってはしらを立てる場合、やはり1行あけるのでしょうか? |
台本を書く上で書式は幾つかありますね。原稿用紙を用いたり、ワープロで書いたり、中には印刷台本そのままに印字してくれるPCソフトもあります。はしらの前後に1行あけるのは、独立させて見やすくするためですね。最初からスタッフ、読み手に見やすく提示するという姿勢は大切なことです。そんな広い視野で台本制作に臨まれることを期待しています。
(2003.05.18) |
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夕方や夜の撮影指定はどうすれば良いでしょうか? |
はしらの最後に( )で表します。昼であればこれを省き、(夜)(深夜)(未明)(早朝)(朝)(翌朝)などと書き表します。なお、シーンごとの撮影が行なわれますので、はしらごとに指定した方が親切です。
(2001.10.11) |
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はしらに(昼)と、何故書かなくて良いのですか? |
通常が(昼)の撮影で、指定しなくても、昼に撮影することが現場に伝わるからですね。他にも(午前)や(午後)が必要かどうかというご質問がありましたが、これらの疑問は、設計図としてのシナリオの役割を考えてみればわかります。スタジオ撮影であれば照明に関わり、屋外であれば夜間撮影や夕日、朝焼けの映像を撮るためのスケジュールを組まねばなりません。刻限指定は「その時間帯の映像を撮ってください」という指定です。他の「指定」とも関わりますが、意味のない指定であれば、現場を混乱させるだけて無意味です。 (2002.04.03) |
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朝の場面が続く場合、最初のはしらで(朝)とするだけで良いですか? |
場面(シーン)に繋がりがなく、読み手が誤解や混乱を招きそうだと感じたら、そのようにした方が良いでしょうね。通常は、ドラマの展開で余程の変化がなく続いていると感じられるだろうと思えば、最初だけに表します。他の見方としては、(朝)が続くのがくどくて見苦しいからとか、朝という基準をどのように判断するのか、朝である意味がなんなのか、という判断にも因りますね。
(2004.11.12) |
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翌日を表す場合、(翌日)とはしらに書いても大丈夫でしょうか? |
(夕方)(夜)(朝)以外に(翌日)という指定を拝見したことがあります。ちょっと首を傾げる表示です。シナリオには映像で語ることを書きます。翌日ということが、はたしてそれだけで伝わるでしょうか? 映像になった場合、ひょっとしたら数日後と受け取るかも知れない。それで安心しないで、日替わりは、ト書きの映像指定や台詞でも語るべきですね。
(2002.04.11) |
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はしらで季節の指定、例えば(夏)とか(冬)と書いてはいけませんか? |
はしらに(夏)とか(冬)と書いた公募作品を拝見したことがありますが、ト書きにそれらしい記述がなく呆れました。(笑) 季節にこだわりや意図がありながら、その季節を表す方策や描写が思い付かないのでしょうか? お任せにされたスタッフがお気の毒です。
(2003,11,19) |
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人物のアップは、はしらになりませんか? |
「子供の泣き顔」みたいなはしらは許されますか? |
はしらは具体的な場所を指定しましょう。基本形を忘れて、人物のアップや表札・木札などをはしらとして立てることは、新人の皆さんにはお勧めしません。シナリオは設計図です。まず、撮影場所を探すスタッフが分かりやすいように、指定してあげて、撮って欲しい絵はト書きに書きましょう。 (2002.03.21) |
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時間経過を表す場合、はしらに書くのでしょうか、ト書きに書くのですか? |
同じ場所で時間経過を表す場合、柱を別に立てる必要がありますか? |
刑事の張り込みが半月続いているのを表すには、どうすれば良いでしょう? |
ご質問にお答えする前に、老婆心ながら、はしらで時間の経過を指定し、表したおつもりになるのではなく、ちゃんと時間が経過したことを示す映像表現、工夫を、まずはお考えになることをお勧めします。時間経過を表す方法は、先輩たちが知恵を絞っています。今は定番となっているは、ト書きの中で、時計を表示したり灰皿の吸殻が増えるなどの小道具で表す方法や、夜になって月が出ているシーンなどを、はしらを立てて短く挿入したり、単純にタイトルで「○時間後」と表す方法などです。1つのはしらの中で××で区切るかどうかの判断については、別項をご参照ください。 (2001.11.01) |
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シーン途中で人物が見ている風景を表現したい場合は、どう書けば良いでしょう? |
場面転換の手法(カットバック)やその契機、或いは映像技法(FI FO OL DIS)などについては別項でお答えするとして、原稿上の表現、書き方についてのみお応えします。心象風景のフラッシュ、イメージ、回想については回想をご参照下さい。 まず基本的には別にはしらを立てるのが通常の表現手段です。ただ短いシーンは、手紙表現と同じくそのシーンの中に「× ×」とト書きの中で区切り、簡略に済ませることでテンポなどを表すことが出来ます。その区切りの最初にはそれが何であるのか、例えば「イメージ・フラッシュ」などと書き表しておきます。その記号は「× ×」以外に「× × ×」でも、その他どんな記号であっても構いません。それは作者の個性ですが、私は師匠から「× ×」』の継承を命じられました。それよりもこの場合特に留意すべき点は、繰り返しになりますが、はしらを立てる程でもない短いシーンであるという前提です。また演出に関わる映像の指定、例えば「カメラのファインダー越しに」とか「主人公の視点で」とか言った表記は、監督の領分を侵すもので嫌われることがあります。そのような指定をするまでもなく、そういう映像で表現するのがベストである、そのような映像でしか人物の心情などを表現出来ない、と判断させる内容、表現、台本が、優れた脚本ということになります。 (2002.04.21) |
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同じシーン(例えば飛び降り)を別々の視点で描く場合、はしらは別ですか? |
今回のご質問には根本的な思い違い、間違いがあります。シーンとは「場」で、ご質問の状況は場の塊であるシークエンスです。場ごとにはしらを立てますから、当然はしらは別になります。 (2002.11.09) |
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人物がガラス越しに室内を見ている場合、柱は別に立てるのでしょうか? |
このご質問はルール先にありきで、それで何を描きたいのか、が不在ですね。覗いた先で芝居があれば、はしらを立てれば良いでしょう。覗いていることを改めて知らせたければ、その覗いた先のはしらが立った芝居場でそれをわからせれば良いでしょう。また、視聴者・観客をその人物と同じ思いで緊張感を持たせてこっそり覗かせたければ、窓越しなり節穴なり、その人物の視点で描くのですから、はしらは不要になり、ト書きで何が見えるか書けば良いでしょう。 (2002.04.11) |
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広い場所(例えば体育館などでの試合)でのはしらの立て方は? |
砂浜や山の中など、見た目風景が同じ場合のはしらの立て方は? |
仕切りがない室内での会話の場合、それぞれはしらが必要ですか? |
病室やホテルなど、同じような部屋がある場合のはしらの立て方は? |
浜辺や野山、或いは体育館など見渡せる広い場所でのはしらの立て方。ちょっと迷いますね。基本は「そこで芝居があるかどうか」ですから、それを元に、芝居(やり取りなど)があれば、目印を定めてはしらを立ててはいかがでしょうか。「流木の側」とか「川岸1」「コート内」などです。なお、空間が仕切られている場、例えば学校の教室や病院の病室などで、それぞれの場で芝居があれば、別のはしらを立てるのが通例です。
(2002,02,22) |
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「××中学・3年B組」という柱で、その木札が大写しになりますか? |
(上記質問に関連して)その木札のアップから入りたい場合の方法は? |
ご質問の木札以外にも、住宅の表札とか会社のプレートなどがありますね。はしらでそれを指定することは成立しますが、作家の個性や表現を主張するみたいなものだと思います。はしらの基本は場所指定ですから、「××中学・3年B組・廊下」として、ト書きに「その木札」とするのが基本表現でしょう。また、「××中学」の部分は、ドラマの一連の流れを考慮して表すほうが良いですね。すなわち、絵で見せる、語るものですから、そこが「××中学」であることを、まず視聴者にわからせる工夫。例えば校舎の全景でそれをわからせた場合、「同・」になります。もちろんそんな段取りを飛ばして木札の表示で済ませることは可能です。要は視聴者と制作スタッフが、その「場所」がわかるかどうかですね。
(2002.07.13) |
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1日中歩き回っている姿を、一つの柱の中で描きたいのですが? |
刑事ドラマでの聞き込みシーンでは、「聞き込み捜査」なんて、アンフェアな、はしらを立ててまとめました。場所をト書きの中に箇条書きで羅列して、それぞれの場所で刑事達が聞き込みを行っている、みたいに書き表しました。これはドラマのワンシーン(「太陽にほえろ!」)を思い起こすとお分かりでしょうが、快活な音楽に合わせた点描シーンです。台詞もなく、刑事たちの行動を見せるだけ。こういう場面はこんなまとめ方で大丈夫でしょう。もう少し余裕があれば、1つのはしらの中にまとめた場所を× ×を入れて区切ります。ちょっと細かな、例えば情報収集が上手く行っていないことを、聞かれた人物が首や手を振って表すなど、動作指定が必要と感じた場合などです。
(2003.06.14) |
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家の中を移動しながら会話する場合、はしらはどうなりますか? |
【▲▲家・中】のはしらで、ト書きに【居間から玄関に●●(人物)が向かいながら】などと表すのが通例ですね。ところで、老婆心でのアドバイスを1つ。ご自分が浮かべたイメージを大切にしたいお気持ちはわかりますが、意固地にそれ(物語全体の中では枝葉)に拘り、監督の領分を侵して、より良い映像表現への芽を潰したりするのは惜しいですよ。担当外のカメラワークを指定するのではなく、演出や撮影を担当する方が、そう撮らざるを得ない、感心するような、理由のある書き方をなさるのがベストですね。脚本は「脚の本」。「台本」は「台の本」。共同作業で映像作品が生み出され、それがシナリオ創作の面白さであり、醍醐味です。
(2003.09.12) |
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昔の写真やニュースフィルムなどを羅列する時の柱の立て方は? |
イレギュラーな、はしらになりますが「写真」「ニュースフィルム」と立てれば良いですね。そしてト書きの中に羅列すれば良いでしょう。ただ、前後のシーンに要注意です。写真がそこにあり、アップを指定するのか、「ニュースフィルム」を、その場のスクリーンなどに映すのか。その場合は「机の上」とか「スクリーン」などがはしらになりますね。或いは想像など、人物がイメージを浮かべる場合は、回想と同じ表し方で、その人物の特定やイメージであることをわからせる必要があります。
(2002.09.11) |
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同じような場所でシーンが続く場合のはしらの立て方は? |
「同じような場所」というのがわかりません。病院の中の病室とか、学校内の教室のようなところでしょうか? それぞれに部屋番号などがあるはずですから、区分けはつけられますよね。それ以外では「同じ場所」で時間が飛ぶ場合でしょうか。この場合は、間に外の風景(例えば月が出て夜になったとか)などを入れて時間経過を表わします。
(2002.05.21) |
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