基礎講座第5回
「種類と形式」
シナリオ実践塾クラム
次回講座はこちらです。
【第1章】第6回



課題5 「種類と形式」

 提出済作品全てを一言で表現して下さい。

  また、全ての対象作品の種類分けを行って下さい。
  形式を発見した場合はそれをお示し下さい。


 課題回答の締切は次の金曜日です。
 ワードではなく、テキスト文書(プログラム/アクセサリ/メモ帳)の添付でご提出下さい。


 回答をお寄せくださった方へのみ、
 S(大変良い)A(良い)B(普通)C(努力を要する)の評価を行い、
 翌々日の日曜日にメールを差し上げます。



第5講座『種類と形式』
一言表現
 優れたドラマや映画は、必ず一言で言い表せます。一言で表現するときの注意点は、必ず相手に興味を持たせ、その一言からそのドラマや映画のイメージが浮かび、見ていない人でもその作品の内容が推測出来て、観てみたいという期待が膨らむ、そんな読み手の注意や興味、そして広がりを喚起するような「作品紹介」を心掛けることです。 

押し付け
 手本となる作品を語る時、ご自分の見方や受け止め方、考えなどを押しつけてはいけません。まずは大多数の人が共感、納得出来る個所をその作品の中から見出してください。それはドラマの「核」を見破ることです。その上で、新たな自分なりの見方を提示してみましょう。

ドラマの種類
 「ドラマの種類」については、一般公開HP「シナリオ基礎知識」の中でご紹介しています。

シナリオの形式
 「シナリオの形式」については、一般公開HP「シナリオ基礎知識」の中でご紹介しています。

温故知新
 「故(ふる)きを温(たずねる/習う)ね、新しきを知る」 或いは「考古造新」。


課題補足『対立と葛藤』
奪う
 基礎講座課題の狙いや目的は、まず過去の作品から学び、そこから、これからのご自分の創作に役立つヒントの入手することです。そのためには解説の視点や、あるジャンルへの拘り(好き嫌い)などを、まず捨てましょう。そして全ての課題から得た様々なヒントを「奪う」という発想・視点で取り組まれてみては如何でしょうか。

自己解決
 この講座の目的は「ご自分で、ご自分の答えを見つける」こと。反論に対する反論や塾長の個人的な思いや意見は極力差し控えますが、先の「結局は家族と恋愛です」について、こんな見方は如何でしょうか。素材・着眼で「その作品には、家族と恋愛を描いたシーンは一つもないと言い切れるだろうか」 主題で「作者が描きたかったものは、家族と恋愛では描けないだろうか」 そしてこの講座の最初に考えた感動や琴線を思い起こして「貴方はその作品の何処に感動し、何が貴方の琴線に触れたのか」

伝わる
 対立と葛藤の評価「S」と「A」の違い、その理由の1つに、漠然とした曖昧な言葉の多さ、あるなしがあります。「この言葉、表現で自分が感じた思いを具体的に表しているだろうか」「これで読み手、視聴者に同じ思いが伝わるだろうか」 これは他の課題回答でも気をつけていただきたい文章を書く上での基本です。常にそんな視点を心掛けてご回答下さい。

擬人化
 課題の「対立関係」を様々な事物(海岸/時間経過/病気/時代/自然現象など)で表した回答が寄せられました。その視点視界の広がりに驚きと喜びを持って「S」評価にしています。

評価解説
 これまでの課題の全てが「一言表現」に帰結することに遅かれ早かれ気付かれたはずです。それを見破って提出なさった方がいましたので内容以前のA評価にしています。或いは読み手に対する配慮、客観性を持った書き方が出来るかどうかも高評価の対象にしています。他の講座の課題評価でも、まだご自身の思いに捕われ、個人的(主観的)評論や感想の域を出ていないものは常に「B」です。「S」評価はその作品の解説、説明、評論ではなく、第1章講座「創造する」の主目的である「過去の作品から創作のヒントを得て盗む」を理解していると思われる回答を選んで与えています。

刑事ドラマ
 刑事ドラマにおける対立葛藤には、まず「善と悪」「正義と不正」「生と死」のような観念的なモノがあります。この基本ベースに番組のカラーを加え、「敵と味方」「男と女」「若手と熟練」「個人と組織」「父と母」「親と子供」など普遍的な対立が読み取れます。個々の話では「暴力団と警察」「会社と家庭」「上司と部下」みたいな細部に渡る具体的な対立も見出せるでしょう。このような整理をしてみては如何でしょうか。葛藤については、それらの要因が或る人物の「内側に起こす迷い」と捉えて良いでしょう。作家の視点として、ドラマの「日常と非日常」という対立関係も視野に入れておいて下さい。


Q&A

数珠玉式より縄式
 シナリオの形式ではっきりと意味がわからないまま使ってしまった用語があります。数珠玉式とより縄式です。何か例を出して教えていただければ幸いです。
 この二つが基本的なシナリオの形式です。ですから例えと言われると困りました。こんな風に考えてみては如何でしょうか。子供が生まれて、その子を追いかけてドラマを創ると「数珠玉」、その子を中心に置いて、両親、兄弟、配偶者、子供たちを同時に描くと「より縄」です。
(2002.03.08)

オムニバス
 オムニバスというのは、3軒か4軒の、繋がりのある主婦が、代わる代わる主人公になる。というものですよね。初歩的な質問で恐縮なのですが、主人公が、代るものなのか、それとも、主人公は一人いて、副主人公として、それぞれの、例えば主婦が代る。というように作った方がいいのか。決まりのような物はあるのでしょうか。オムニバスドラマというと、タモリさんの番組がすぐに頭に浮んだのですが、あれは、オムニバスとは違うのでしょうか。一話完結で、主題も違うから、違うのかな、でも似たような話だけどなあ。と悩んでおります。小説で言えば、連作。というのが、オムニバスドラマにあたるのでしょうか。
(塾生010322) 
 「オムニバス」とは乗合馬車のことですよね。ドラマなどでは、独立した数編の話を並べて1つの作品にした構成です。ですから主人公を乗客と捉えれば、その繋がりは無くても良い。医者もいれば、娼婦も、アウトローも、富豪も乗合わす。その繋がり、共通点は、たまたま同じ馬車に乗り込んだということ。ドラマで言えば、目的地(主題/素材)が同じということです。「3軒か4軒の、繋がりのある主婦が、代わる代わる主人公になる」必要はありません。町内会でまとめなくても、北海道と九州に別れても構わない。また主人公はそれぞれの人生を背負った乗客ですが、馬車を操る御者がいます。それが「世にも奇妙な物語」のストーリーテラー・タモリさんということになります。それもこれも「決まり」といったものはありませんし、あってもこの程度の言葉の解釈です。
(2001.4.28)


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