基礎講座第4回
「対立と葛藤」
シナリオ実践塾クラム
次回講座はこちらです。
【第1章】第5回



課題4 「対立と葛藤」

回答作品の
「対立関係」と「主人公の葛藤」
を明らかにして下さい。

また、先の講座で述べた
「結局は家族と恋愛です」
に反論する作品があればその作品を、
なければ「それ以外」と考えられる主題や素材をご提示下さい。



 課題回答の締切は次の金曜日です。
 ワードではなく、テキスト文書(プログラム/アクセサリ/メモ帳)の添付でご提出下さい。

 回答をお寄せくださった方へのみ、
 S(大変良い)A(良い)B(普通)C(努力を要する)の評価を行い、
 翌々日の日曜日にメールを差し上げます。



第4講座『対立と葛藤』
対立
 「対立」とは二つの反対の立場にあるものが並び立っていることです。それは、映画やテレビドラマなどでは、視聴者・観客を引っ張る重要な要素の一つです。そして対立には、互いに相容れない何かが向かい合うという要因があり、人物たちには、それぞれの独立した思い、信念などがあります。また、力関係が平等であればあるほど、対立は強まり、緊張感が生まれます。

内外
 「葛藤」には二つの見方があります。これまでにも何度か指摘した「内外」です。一つは「対立」と同じ外での葛藤で、譲り合うことのない争いやもつれなどの「現象」を意味します。そしてシナリオ創作の上での葛藤は、主に登場人物の内側の思い(心の動き・変化・動揺など)を指します。

迷い
 人物の心理心情は複雑です。相反する「欲求」が同時に起こったりします。そのどちらを選ぼうか、その「迷い」が葛藤とも言えます。けれど安易に、選択に追い込まれて葛藤が生まれるとは言い切れません。例えば「愛と憎しみ」という対立する心情はどちらか選択できるものではありませんね。

憎しみ
 また葛藤は「迷い」や「欲求」から、だけしか生まれるものではありません。「憎しみ」は欲求ではありませんよね。

善悪
 対立、葛藤で一番分かりやすいのが「善悪」です。


課題補足『素材と着眼』
ナウシカ2
 「風の谷のナウシカ」であれば、「自然」「少女」「腐海」「蟲」「オウム」「巨神兵」などを羅列します。観た人にも、観ていない人にも、具体的なイメージが沸くキーワードを選択します。(受講生問い合わせに対するお答え)

連想
<今回の課題では、「素材」と「着眼」の違いについて、いまひとつ理解が足りていないような気がします。「素材」については、「何を扱った話なのか」ということだと思うのですが、「着眼」については、物語を連想させる(エピソード)や、ストーリーの奥行き、あるいは独創性を象徴する(キーワード)のことなのだろうか・・・と考えました。おそらく、シナリオの打合せや直しの作業で手を加えていく部分が、「着眼」ということなのでしょうか? 想像するに、「何か面白いドラマのネタはないかねぇ・・・」という時の、(ネタ)=「素材」で、「このドラマの切り口を、もう少し工夫してくれないかなぁ・・・」とか、「もうちょっと、オリジナリティのあるエピソードがほしいね」なんていう時の、(切り口)(エピソード)=「着眼」なのかなぁ、と思っているのですが。いかがでしょうか。>
(塾生020208/塾長意見より優れていますのでご紹介させて頂きます)

磨く
 素材と着眼は、どちらかといえば相反する言葉やまったく結びつかない言葉に置き換えることができる。素材から想像のつかない着眼に対立が生まれ、ドラマができるのだと感じた。着眼の切り口を磨く方法はあるのでしょうか?
(塾生000426)           
 まさにその通りで、巷に素材は沢山転がっています。それを作家がどのような着眼で、何を描こうとするのか、そこが創作の大事な視点であることに、まず気付いて頂きたかったのです。素材の選択時点で、既に全く違う見方や切り口を見出すのが作家のオリジナリティであると考えます。表面的に素材を見つめているだけでは、新たなドラマを生み出すことも困難でしょう。人とは違った見方をすることにより、或いは通常の見方ではない捉え方から、新たなドラマが生み出されるでしょう。その1例が1つの素材の中に対立関係を見出す視点です。着眼の切り口を磨く方法については、それこそ作家の資質にも関わることですが、常に「この捉え方は在り来たりではないか」という疑問を持って事物を見つめることで養われ、培われて行くと考えます。 

素材大小
 いくつもの素材を列挙したのですが、あまり細かいのを入れても……と、省いてしまいました。後で考えてみましたが、その細かいものも物語には欠かせないことに気づきました。素材というものは、大・小、関係ないのですね。作者がそれを使ったということは、意味があるものなのだ……と。軽率でした……。
(塾生020917)

直線状
 例えば「回答に羅列した単語一つ一つでイメージを膨らませ、ドラマを生み出せるかどうか」そんな視点で、この課題回答について眺め直してみては如何でしょうか。そして、その時のイメージですが、ちょっと抽象的、観念的になりますが、放射線状に広がって伝わるものなのか、直線状で突き進んで伝わるものなのかと判断してみるのです。放射線状とはつまり、相手にご自分のイメージが散漫に届いてしまうことで、それだけ多用な意味や印象を与える言葉を選択しているということです。それとは異なり、直線状とは、共通のイメージがストレートに相手に届くことです。それは貴方が、数ある言葉の中から、的確な言葉を選別していて、相手が得るイメージを狭めたればこそ、叶います。言葉の持つ意味は確かにそれだけで多様なのですが、的確な言葉を起点にすれば、受け手には同じメージが浮かび、つまり連想の繋がりが生まれる筈です。


クラム事務局 zimu@kuram.tv