昔話や童話にも、それを最初に生み出した作者独自の思いや狙いがあります。その思いを見破って意図的に変えることで、全く違う新たな物語を創造することも可能です。例えば「三匹のこぶた」には、様々な結末パターンがあります。塾長のウロ覚えでは、三匹が力をあわせて狼を懲らしめますが、イギリスの原作では、二匹食われて、最後の一匹が敵討ちをする筈です。それも残った子豚が、鍋に飛び込んだ狼を食ってしまう。前者には毛利元就の「三本の矢」的な教訓を含めているのでしょうし、後者の仇討ちというのも塾長なりの解釈・理解です。これらは良く言えば、作者のオリジナリティ、脚色者なりの切り口ということになりますが、悪く言えば、自分の思い通りに歪曲した解釈・理解であり、そこから生み出した作品は、ただの盗作ということになります。原作者の思いや狙い・意図を理解した上で、新たな独自の切り口を創造し、提示する。それが原作を扱う場合の注意点であり、戒めです。 |