基礎講座第19回
台詞
シナリオ実践塾クラム
第3章は、課題回答者のみの配信になります。
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課題19

朱の下線は何故かを考え、回答をお寄せ下さい。



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講座
基礎知識「台詞」もご参照ください。
語る
 台詞によって、その人の個性、境遇、心情、職業や地位など、様々なことが表現出来ますし、読者や視聴者に伝えることが出来ます。注意しなければいけないことは、「表現する」ことではなく「伝える」ことです。そのためには作者の視点で書いてはいけません。作者が表現しようとすると、過剰な台詞や説明台詞を生みます。大切なことは、自然にその人物が「語る」こと。そのためには人物設定をきちんと行う必要があります.。

自然な会話
 説明台詞をなくし、自然な会話に終始する心掛けが必要です。  

鋭い台詞
 台詞には自然体と同時に鋭い切り口や現代風などが求められます。

性格台詞
 台詞1つでその人の性格を表すことが出来ます。例えば夏。「暑いですね」と挨拶されて、「夏は暑いに決まっています」と応える人物は如何でしょうか。

状況台詞
 台詞で状況を説明することは可能ですが、使い過ぎると説明台詞になります。


Q&A
ナレーション
 ナレーションの多用を指摘されましたが、どんな時に使えばいいのですか! 「ナレーターが誰か?」というご指摘がわかりません。言わば「神の声」です!
 通常、ナレーションは時代背景や時間経過、事件の状況や事情、登場人物の人間関係などを説明する時に使います。これは画面外から流れる声で、仰る通り「神の声」(笑)かも知れません。しかしそれ以外に人物の「内面の声」としてナレーションを用いる場合もあります。この場合は、ドラマ創作の禁じ手と言われる「心理描写を台詞で語る」ことも可能となりますが、基本的には、ナレーションは筋の運びを分かりやすく解説して、ドラマの核心に早く至るために使うモノです。そして、ドラマの核心である劇的な状況や人物の心情、感情までナレーションで説明するのは、安易な手段で感心いたしません。
(2003.08.03)

正体不明
 正体(例えば名前)を明かさずに表す方法がありますか?
 サスペンス物などでは必要ですね。でも、何処まで誰を騙すかという前提を、まずは考える必要があります。観客・視聴者を騙すのが目的で、それを一緒に創る仲間も騙す必要があるかどうかとね。(笑) 確かに台本を読んで「そうか、こいつがそうだったのか!」とPやDたちを唸らせるのは快感でしょうが、必要最低限の情報は台本の中で与えておかなければなりません。簡単な方法は、表記を単純に「男」「女」にするのですが、その先に良くある手法として、「男」と思わせて「女」だったという手があります。その場合は「怪しげな人物の陰」みたいなト書きで済ませます。この場合、その人物は大抵無言で見守ったり、襲ったりするのですから、台詞表記はなく、名前でばれる心配はありません。また、声を表す場合は、ボイスチェンジャーなどを使うでしょうから、ト書きにそう書き、「Bの声」とかにしましょうか。いずれにせよ、表示はこのように簡単なので、騙すテクニックにお互い知恵を絞りましょう。
(2003.04.09)

臨場感
 台詞を書く上で特に注意すべきことはありますか?
 沢山ありますね。(笑) 書き方とか技術的なことは既に学んで来られたと判断して、ちょっと観念的なアドバイスを差し上げます。それは台詞の持つ「臨場感」や「躍動感」に留意するということです。台詞には物語進行の役割があり、様々なことを都合良く「説明」することが出来ます。でも忘れてはいけないことは、台詞には、語る人物の感情が込められるということです。語る者が何を言わんとしているのか、「伝える」という大前提は、物語の進行だけではありません。台詞の持つ、このもう1つの役割にも目を向けてみましょう。例えば、怒っていたり、泣き叫んでいたり、気落ちしていたり、楽しかったりすると、台詞には様々な「抑揚」が生まれませんか? 平坦な説明台詞はつまらないモノです。人物の感情が込められた台詞が面白いし、それで伝わる、伝えるべきモノが別にあるとは思いませんか? その臨場感に留意して、台詞にはリズム感を加味して、語る人物の感情を考えながら書いてみてはいかがでしょうか? 貴方が台詞で伝えるリズム感こそが、読み手に臨場感を与え、或いは興味を持たせ、その人物の感情を推察させます。
(2005.01.30)

駄目出し
台詞
不自然 「不自然です」「もっと自然体の会話に」
敬語 「敬語が怪しい」
饒舌 「しゃべりすぎ」
説明 「説明台詞です」「ただの説明」
段取り 「段取りだけのやりとり」「展開たるい」
無駄 「無駄な台詞です」「意味がない」
無性格 「キャラクターが生きていない」「(その人)らしくない」「役者が生きない、のらない」
無感情 「人物の思いが伝わらない」「生きた人間の言う台詞じゃない」「台詞に迫力がない」
「人物が同じ言い回しをしている」
呼びかけ 「ただの呼びかけです」「その呼びかけは必要なのか」
挨拶 「ただの挨拶です」

クラム事務局 zimu@kuram.tv