基礎講座第12回
ハコ
シナリオ実践塾クラム
次回講座はこちらです。
【第2章】第13回

課題12

 ベスト3作品それぞれをハコにして下さい。

   シーンの頭にはしらを立てて下さい。
   表現は客観描写。不要な台詞は避け、状況説明に主眼を置いて下さい。


 締切は次の金曜日です。
 朱を入れて、添付で指導・アドバイスを行う場合があります。そのため、
 
※テキストではなく、ワード文書でご提出下さい。

 第2章以降、「S」「A」「B」などの評価は致しません。


第11講座「ハコ」
箱書
 話の各ブロックを「箱のように囲う」ことからそう呼びます。図表のようになる箱書を作成することで、一目で物語全体を見渡せるようになります。

ハコ
 この講座では「逆箱」を課題にしていますが、箱書は本来、作品をシナリオに興すためのメモ書きです。箱創りは、物語を構築し、全体を掌握するためには、とても有意義な作業です。シーンやシークエンス毎に、そこで何を語るかを、整理、構築、検討する手段です。

ハコ手法
 ハコ書きの手法は色々ありますが、例えばノートや白紙の中に四角いブロックを先に幾つも設けて、その中にト書きや台詞、思い付き、物語の展開上忘れてはいけない事々などを、思いつくまま、或いは流れに添って書くのが一般的です。それを切り分けてカードにする方法や、或いは巻紙やノート1冊、各頁を1シーンや1シークエンスにするなど様々です。要はご自分のやりやすい、浮かびやすい手法で、ご自分のためのメモ書きとすれば良いのです。

ハコ段階
大ハコ 3〜8のブロック分け。起承転結・序破急・3幕構成など。
中ハコ シークエンス単位やエピソード単位で分ける。
小ハコ シーン単位で書き並べる。

逆箱
 完成したシナリオや映像作品などからハコを起こすことを「逆箱」と呼びます。この講座の課題がそうですが、通常は無駄なシーンや展開に気付くために起こして利用します。

ハコ目的
 ハコは物語の進行をスムーズにするため、或いは矛盾点などを解消するため、といった様々な目的のための手段ですが、初期の区分け作業で一番大切なことは、その作品のゴール・核・主題・狙いといったものを、明確に表すため、または印象深く、独自的に表現するにはどうすれば良いのか、そのことに留意しながら組み立てることです。

構成表
 考え方は箱書と同じですが、流れを重視して、例えば原稿用紙を巻紙のように繋いで作ります。

塾長ハコ手法
 塾長は、最初に構想を練るときは、白紙の紙全体の左下から右上に流すように、方向性(物語の流れ)を考えながら思い付くままに書き流します。その後別の区切った紙を用意して大ハコを作ります。そして全体がほぼ出来上がったと思えた時点で、最後にカードにします。カードの段階は小ハコ(各シーン毎)になりますので、前後の入れ換え作業や各シーンの削除、書き足しが楽です。

ハコ見本
  昔話や童話にも、それを最初に生み出した作者独自の思いや狙いがあります。その思いを見破って意図的に変えることで、全く違う新たな物語を創造することも可能です。例えば「三匹のこぶた」には、様々な結末パターンがあります。塾長のウロ覚えでは、三匹が力をあわせて狼を懲らしめますが、イギリスの原作では、二匹食われて、最後の一匹が敵討ちをする筈です。それも残った子豚が、鍋に飛び込んだ狼を食ってしまう。前者には毛利元就の「三本の矢」的な教訓を含めているのでしょうし、後者の仇討ちというのも塾長なりの解釈・理解です。これらは良く言えば、作者のオリジナリティ、脚色者なりの切り口ということになりますが、悪く言えば、自分の思い通りに歪曲した解釈・理解であり、そこから生み出した作品は、ただの盗作ということになります。原作者の思いや狙い・意図を理解した上で、新たな独自の切り口を創造し、提示する。それが原作を扱う場合の注意点であり、戒めです。

クラム事務局 zimu@kuram.tv