基礎講座第11回
構成
シナリオ実践塾クラム
次回講座はこちらです。
【第2章】第12回

課題11

 ベスト3作品それぞれを、
起承転結、序破急、或いは3幕構成(3ACT)など、
いずれかの構成原則(構成法)で分解して表して下さい。



 締切は次の金曜日です。
 朱を入れて、添付で指導・アドバイスを行う場合があります。そのため、
 
※テキストではなく、ワード文書でご提出下さい。

 第2章以降、「S」「A」「B」などの評価は致しません。


第11講座「構成」
構成原則
 映画やテレビドラマなどには一つの流れがあります。それを構成と呼びます。この構成には、古くから様々な形があります。その類型を構成原則と呼んでいます。この講座の中で、その主なモノをご紹介しますが、覚える必要はありません。観客や視聴者を飽きさせない手法があることを感じとって、学んでください。

構成原則
起承転結
 起承転結とは、漢詩の句から生まれた構成法のことです。
 身近な参考例としては四コマ漫画があります。
 ドラマ創作では以下のような流れです。

(起)−ドラマの発端部分。時や場所、人物の相互関係や状況などを紹介。
(承)−ドラマが展開して行く過程でドラマの大部分。小さな山場が必要です。
(転)−全編のヤマや頂点を描きます。同時に作品のテーマを明確にします。
(結)−物語の結論、結論。視聴者や観客をドラマから解放します。


序破急
 世阿弥(足利時代)が『能作書』の中で唱えた能における構成法です。徳川期には近松門左衛門の浄瑠璃作法の基準ともされ、歌舞伎作者たちの脚本構成にも強い影響を与えています。

 この構成法は、三部分説とも呼ばれ、これを五段に分けます。
 序(一段)、破(前段・中段・後段)、急(一段)といった感じです。
 これは原則で、題材によっては四段、或いは六段、七段となっても差し支えないようです。

 ドラマ創作に当てはめると、以下のようになります。
序−発端。劇の方向や性質環境などが暗示される。
破−中枢部。
   前段−人物の相互関係や、劇的な局面が次第に錯綜します。
   中段−劇的事情が複雑になり、人物の性格的な動きなどを細かく描写します。
   後段−物語の主題が明瞭に浮かび上がります。
急−劇的事情が一つになったクライマックス。物語が収拾されて終わりを告げる部分です。


3幕構成(3ACT)

1ACT(第1幕) セットアップ Set up/設立 
 時間的分量では、2時間もの映画で、大体始めの30分位。
 物語の設定がすべて語られる部分。
 物語の設定とは、主人公の置かれている状況、舞台、関連する全てのキャラクター紹介など。
 観客がこの物語の概要、設定を理解するための部分で、第1幕の切れ目(1ACT Break)には、主人公の欲求が必ず明らかになり、それが物語を動かしていくための要因とならなければならない。
 
2ACT(第2幕) コンプリケーション Complication/複雑
 物語は波打ち、絡まり、複雑に込み合い、予期せぬ方向に転がりはじめて、クライマックスに向かって高まる。様々な困難や物事が主人公の身に降りかかり、第2幕の切れ目(2ACT Break)には、もう逃れられないという最悪のポイントが用意されて、主人公を追い込む。多くの場合、クライマックスにつぐ、何か大きな出来事が起こる。それはクライマックス前の劇的シーンであったり、サブストーリーの集結であったりする。中間あたりにミッドポイント(Midpoint)と呼ばれるクライマックスに関わる何か重要なターニングポイントが用意される。これは観客を集中させるための仕掛け(ティッキングクロック/時限爆弾)。

3ACT(第3幕) クライマックス Climax/絶頂
 物語のテーマ性が一番濃厚に語られる部分。
 一難去って、また一難、或いはドンデンがあり、問題が一挙に解決されたり、より大きな悲劇に主人公が見舞われるなど様々な進行でエンディングを迎える。エンディングは余韻を楽しむ程度に、軽く押さえているのが通常。


起首
起首(プロロゴス)・中枢(エペイソディオン)・結尾(エクソドス)
 序破急と同じ三部分説。
 アリストテレス(古代ギリシャの哲学者)が『詩学』の中で唱えた構成原則。
 悲劇(現代の一般の劇)はこの三部分から成り立つべきもの。

提示
提示・仕組・展開・頂点・結末
ソビエトの映画大学の教科書にある劇的構成。

  提示−この部分で主要人物、事件の場所、時代、前触れ的な葛藤等を紹介。
       要は続いて起こる争闘についての各種事情の提示。
  仕組−提示で示された事情の一端が崩れ、重要な葛藤へと導かれる。
  展開−発生した葛藤が発展する部分。
       複雑になってゆく争闘のそれぞれの場合の系列が含まれる。
  頂点−事件のもっとも緊迫する瞬間。
       この部分の重要な葛藤の展開に続いて結末が来る。
  結末−争闘の最後の一点で、事件はその後において終結する。


導入
導入・上昇・頂点・下降(反転/破局)
 グラタフ・フライタークが唱えた構成法。ギリシャ悲劇の戯曲構成から考案。

発端
発端・葛藤・危機・クライマックス・結末
 現在もっともオーソドックスなシナリオ構成法。

ソナタ形式
序論・説話・論証・列叙・結論
 音楽用語による5段型。

組み立て法
 演繹法・帰納法・提示法・散叙法・対比法・その他。 文章講座

クラム事務局 zimu@kuram.tv